パパが育児をするとママの心身の負担はぐっと減ります。それ以外にはどんな効果があるのか、ライフ・ワーク・バランスの専門家である 渥美由喜(あつみなおき)さんから興味深いお話をうかがいました。
女性の愛情曲線は、
夫が一緒に子育てするか否かで明暗が分かれる 私が前に手がけた「女性の愛情曲線」という調査があります。この調査では、女性たちにライフステージごとに愛情の配分先の変化を回答してもらいました。
結婚直後は愛情の配分先のトップは「夫」ですが、これは一時期のあだ花に過ぎません。子供が生まれると子供がトップの座につき、夫への愛情はがくっと下がります。その後、徐々に回復していくグループと、 低迷していくグループに二極化します。
大変な乳幼児期に「夫と二人で子育てした」と回答した女性たちの夫への愛情は回復し、「私一人で子育てした」と回答した女性たちの愛情は低迷します(下図)。
この相関関係に気づいて、私はぞっとしました。一種のトラウマとなり、2回育休を取得し、子供の送迎など、一生懸命やってきました。日本の男性の家事・育児時間は諸外国と比べて圧倒的に少なくなっています。
日本のみならず海外でも、子供の健全な成長や妻の社会参画の観点から、男性の育児家事参加を推進する動きが高まっています。日本の男性たちは、もっと自分の立ち位置に危機感を持つ必要があるのではないでしょうか。
東レ経営研究所ダイバーシティ&ワークライフバランス研究部長 渥美由喜(あつみなおき)
(出典)東レ経営研究所ダイバーシティ&ワークライフバランス研究部長
渥美由喜著「夫婦の愛情曲線の変遷」